私信

日本のアニメ産業の今後を考える - それにはかまわないでくださいへコメントで書こうと思っていたら,長くなったのでこちらに.
>利益 = スポンサー収益 + DVD販売による収益 + 販促物による収益 - テレビ放送制作費
多分,この式自体が間違っているんじゃないかと.まず,収入部分の構造が歪.あと,マイナスもどういいう内訳になっているのか,詳しく見る必要があるかも.深夜テレビの視聴率を考えれば,CMの費用対効果は非常に低いと考えるべきではないかな.
また,テレビでHV放送をしておいて,パッケージではDVD画質,では売れるものも売れなくなるでしょう(どちらの画質が良いか,は分かりますよね).あと,デジタル放送にコピーガードを付けるのは,愚の骨頂でしかないわけで,デジタルの利点を自分でつぶす理由が分かりません(これはテレビ業界のことね.).
ユーザが何を求めているのかといえば,高画質,利便性,所有感,話題性,低価格でしょう.でも,これを一つの方式(メディア)で実現する必要はないわけです.あと,忘れていけないのは,ユーザは方式(メディア)にお金を払っているわけではなく,コンテンツに払っているということ.だから,メディアが違えば,支払うお金が違う(余計な費用がかかる)というのは,(ユーザの感覚からすると)間違っているということになるのでは?
そうすると,必要なのはコンテンツとメディアを紐付ける仕組みかな.
ユーザが一度,コンテンツを購入すれば,どの方式(メディア)のものも利用できる仕組みがあるといいわけです.例えば,ある作品の視聴権を購入した場合,
・高画質…HD画質の動画(30分5GB程度のfull HD).PC上やメディアプレーヤ上で再生できるのがポイント.だからコピーフリーが望ましい.
・利便性…同じくPC用(30分500MB程度でMP4エンコードしたもの)やiPodや携帯用の動画(320x240程度の解像度,H.264エンコード).PC用はサイズが小さいのでPC上で視聴するくらいなら問題ない画質に.なおiPod用は,権利を購入していれば,1clickでiPodへインストールが可能ぐらいの手軽さで.携帯の場合は,ダウンロードだけでOK.
・所有感…権利を持っていれば,実費でDVD(BD)パッケージの購入が可能.追加費用(というのがポイントね.パッケージとメディアはあくまでおまけ感覚.視聴権がまず必要)は1000円くらい?
・話題性…正直,テレビで放送する必要はないわけで,いくつかの動画提供サイトに買い取ってもらって,期限付きで公開するだけで十分.そもそも,動画共有サイトで満足するだけの層は相手にしなくてもいいんじゃない? 取り締まるだけ,労力(費用)の無駄.あと,テレビの影響力というけれども,視聴率を考えると深夜放送の場合,有効視聴者(=パッケージ購入につながるユーザ)の数は,ネットだけになっても,大きな差はないでしょう.
・低価格…これだけやって,コンテンツ利用料は一話(30分)500円から1000円.
さてさて,どうでしょう? ちなみに,一話1000円とすると,パッケージを購入した場合の代金は,一巻三話収録で,4000円.現行のDVDパッケージの割引販売価格とほぼ同じか,若干安いくらいです.問題になるのは,HD画質のデータ転送料かな.その場合,HDだけはオプション扱いにして価格を下げるというのもありでしょう.いずれにしても,コンテンツとメディアを紐付ける仕組みができれば,解消できると考えられます.
ちなみに,購入特典などは必要ないわけで,(コスト的に考えて)完全に無駄.