いい日旅立ち

雲一つない快晴。やや肌寒いくらいの気温が却って心地よい。残念ながら先週の連休には間に合わなかったようだが、11月最後の日曜日ともなるとさすがに紅葉も終盤の様子を呈してきた。実に観光日和。

信号待ちの車内からは、遠く東山の斜面に黄色や赤のまだらが確認できた。先週がピークだったとはいえ、京都に訪れる観光客の数はまだまだ多い。それは、この車の渋滞を見ればいやと言うほどよく分かる。信号機の横に取り付けられた電光掲示板に表示される交通情報は、東山五条まで四十分かかることを示していた。普段なら10分とかからない距離なのに、だ。40分もあれば名古屋まで行けるじゃないか。

ハンドルを右に切って、東大路通に入る。平安神宮に向かう観光客でにぎわう冷泉、二条の両通りを横目にさらに南下を続けたところで、目に入ってきたのは通りに入りきれず交差点にはみ出す車。どうやら、仁王門通りが渋滞しているらしい。ここをまっすぐ通れば、南禅寺へ行ける。途中で曲がれば、紅葉が美しいことで有名な永観堂へも行ける。そりゃあ、混むだろう。いつも通っているこの通りだが、諦めて三条まで南下することに決めた。

三条通も車でいっぱいだ。おそらく清水寺知恩院を観光してきた人たちが、次の目的地−−先ほど出てきた南禅寺永観堂、ひょっとしたら、さらにその先にある真正極楽寺真如堂かもしれない−−を目指しているからだろう。その証拠にタクシーがずいぶんと目立つ。もっとも京都は普段からタクシーの数が多いから、気のせいかもしれないが。

蹴上に近づくと、車の流れが少しスムーズになってきた。交差点まであと少し。ここを曲がれば、晴れて観光ゾーンへ…なのだが、今日はお仕事。山科を目指し、アクセルをいつもより少しだけ踏み込んだ。くそう。